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開発記録 / 動画自動公開制作記 / Vol.59 毎朝七時に、一本ずつ

記事 03

読みは、理屈では決まらなかった——聞き比べでしか決まらない

読み上げに渡す台本には、読みを指定できる。表示はこの字、読みはこの音、と書き分ける仕組みだ。私は当初、数字は読み側を漢数字にする、という規則を作っていた。ある日、同じ文を九通り作って聞き比べ…

2026-09-16 公開

読み上げに渡す台本には、読みを指定できる。表示はこの字、読みはこの音、と書き分ける仕組みだ。私は当初、数字は読み側を漢数字にする、という規則を作っていた。ある日、同じ文を九通り作って聞き比べ、規則を裏返した。数字は算用数字のまま書き、読みを付けない。違和感の原因は、読みを親切に指定していたこと自体だった。

カタカナにすれば直る、ではなかった

小数の読みでも同じことが起きた。一つの文を五通り作って聞いた。短い音のかなで書いたものは、ひらがなでもカタカナでも崩れた。伸ばす音で書いたものと、何も指定しなかったものは通った。効いていたのはカタカナかどうかではなく、伸ばす音があるかどうかだった。結局その小数は指定なしで書くことにして、確認済みとして検査に登録した。短い音のかなで書けば、いまは検査が止める。

語の誤読も一通りではなかった。ある専門語は、ひらがなで固定したせいでかえって崩れており、カタカナにすると正しく読まれた。別の語は三通りとも外れ、通ったのは言い換えだけだった。新しい語で迷ったときは、書き方を変えた見本をいくつか作って、聞いてもらう。これまで三回とも、それでしか決まらなかった。読みの正解は、声そのものにも結び付いている。読み上げる声を別のものに替えたとき、それまで正しかった指定のいくつかが外れた。声を替えたら、危ない語を洗い直す。

読点の後ろで、短い語が消える

文字起こしとの突き合わせは通ったのに、耳で聞くと言葉が足りない、という指摘を何度か受けた。並べてみると形が同じだった。読点やかぎ括弧の直後に、二字か三字の指示語や助詞が続くとき、そこが丸ごと飛ぶ。短い引用の中では四字が消え、別の回では指示語の二字が消えた。直し方も共通で、括弧をやめるか、指示語をやめる。

ただし、その語そのものを禁じはしなかった。同じ言い回しは台本に六十か所以上あり、長い文の中では正しく読まれている。潰れるのは短い一言のときだけなので、前後を含めた形で登録した。語だけで禁じると、正しく読めている既存の回まで止まってしまう。ついでに言えば、耳の都合を目に持ち込まないほうがいい。画面に出る字は、読み間違えようがないので、そのままにした。

直すほど、別の場所が崩れる

一つの段を三回録り直したことがある。一度目を直すと別の語のアクセントが崩れ、それを固定すると今度はまた別の語が崩れ、三度目で私は手を止めた。読み上げは同じ文でも毎回違う音を返すから、一か所触るたびに、その段の他の語に新しい危険が生まれる。直すのは指摘されたところだけにする、と決めた。辞書に規則を足すこと自体も危ない。進行中の回の台本が書き方の検査に引っかかり、台本を直せば内容の合格も無効になって、録り直しの連鎖になる。

自動で判定することは、あきらめた

自然に聞こえるかどうかを機械で判定する方法は、五通り試して五通りとも外れた。最後に試したものは、点数こそ動くのに、渡す音の並びを逆さにしても、全部同じ音に置き換えても、同じ点が出た。三十九本で測り、あらかじめ書いておいた合格条件に届かず、不採用にした。測れていることと、目的に合っていることは別だ。いまは危ない箇所だけを一本にまとめた短い音を作り、それを聞いてもらっている。数字を含む文だけは、絶対に省かない。指摘はほとんど全部が数字だった。

次の回は、縦の動画を横で上書きした話を書く。