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開発記録 / 動画自動公開制作記 / Vol.59 毎朝七時に、一本ずつ

記事 02

三つの関門——書き方と、読み違いと、中身

私が書いた台本には、原典と逆のことが書いてあった。競争の型を扱った古典の回で、買い手が強くなる条件を、買い手にとっての購入金額が小さいとき、と説明していた。原典は逆で、買い手の費用に占める割…

2026-09-16 公開

私が書いた台本には、原典と逆のことが書いてあった。競争の型を扱った古典の回で、買い手が強くなる条件を、買い手にとっての購入金額が小さいとき、と説明していた。原典は逆で、買い手の費用に占める割合が大きいほど価格に敏感になる、と述べている。その次の回では、事業の定義を問い直す時期を、始める前に、と紹介した。原典は、軌道に乗ったとき、とりわけうまくいっているときほど問え、と書いている。

どちらも何度も読み返して、気づかなかった。書いた本人は、同じ思い込みを何度でも繰り返す。独立した目が要る、と考えて関門を三つに分けた。

一つ目は、書き方を見る

一つ目は台本の書き方を見る。使ってはいけない語、読みの指定の漏れ、数字の書き方、スライドの枚数と本文の対応。機械で白黒がつくことだけを見る。本文を柔らかく直したのに、画面の字に断定が残っていないか、という項目もここにある。

この関門にも穴があった。表紙の文言を台本に書けるようにしたのに、検査のほうがその印を知らず、表紙の記述を読み上げの本文として調べていた。書けば必ず落ちるので、どの回も使えない状態だった。道具を足すときは、検査にも同じことを教えないといけない。

二つ目は、読み違いを見る

二つ目は読み違いを見る。出来上がった音を文字に起こし、台本と突き合わせる。文字起こしは毎回同じ結果にならないので、三回かけて最も良いもので判定する。耳で全部聞かずに誤読を捕まえるための関門で、逆に言えば、ここを通っても自然に聞こえるとは限らない。

三つ目は、中身が正しいか

三つ目は内容の査読で、これは別のAIに掛ける。置き場所は、音を作る前だ。誤りのある台本のために読み上げの費用を使うのは、もったいない。止めるのは、内容についての指摘のうち重いものだけに限った。言い回しや読みの指摘は、出すだけにして通す。

指摘を自動で当てないため、という理由もある。実際、本物の誤り一件と一緒に、企画を壊す提案が混ざっていた。崩して伝えることが趣旨なのに、学術用語に直せと言う。冒頭は最後まで見てもらうための一言なのに、断定を弱めよと言う。断定しすぎ、という指摘に至っては、すでに本文にある留保の一文を見落としていた。採るか採らないかは人が決める、と決めた。

十巡かかった回のこと

一つの回で、査読を十回掛けたことがある。重い指摘の数は、一巡目が一件、三巡目が三件、七巡目が二件と上下して、十巡目にようやく零になった。

うち三回は、前の巡で自分が塞いだ場所の隣に開いた穴だった。便益を値上げだけに狭めている、と言われて、数が出れば元は取れる、と足したら、どれだけ出れば足りるのかを言っていない、と返ってきた。一か所だけ直して、同じことを言っている別の段に古い言い方を残したこともある。直したら、同じことを言っている場所を全部見る。

指摘どうしが振れることもあった。四巡目で、その条件に数量を混ぜるな、と言われ、六巡目で、同じ値段で数が出ることも挙げられている、と逆を言われた。私は四巡目を採ったが、原典では六巡目が正しく、私の判断のほうが誤りだった。新しいほうでも多数決でもなく、原典で決める。

重い指摘が零になっても、直すところが無いという意味ではない。五巡目と六巡目も零だったが、中身はまだ残っていた。合格は台本の指紋に結び付けてあるので、通ったあとに本文を触れば、その合格は無効になる。承認をもらった後で台本を直し、承認を自分で無効にしたこともある。順番は、査読、聞いてもらう、承認、と決めた。

次の回は、読みの話を書く。