この店には、四つの商売が同居している。酒。学校の制服と体育衣料。贈答品。そして健康食品。一つの店でありながら、扱っているものの系統がまるで違う。作り直しの前のサイトは、この四つが一枚のページの中に上から順に並んでいた。長い。そして、自分に関係のある部分にたどり着くまでが遠い。ここをどう割るかが、この案件の構成の勝負どころだった。
探しに来る人が、そもそも別人だ
考えたのは、来る人の顔だった。祝いの席に出す酒を探している人と、子どもの体操服のサイズを確かめたい親は、同じ人ではない。頭にある言葉も違えば、急いでいる度合いも違う。制服のことを調べている親は、今日中に在庫があるかを知りたい。酒を探している人は、どんな銘柄を置いているかをゆっくり眺めたい。この二人を同じ一枚に立たせておくと、どちらも他人の情報をかき分けることになる。そこで、商売ごとにページを割った。四つの商材でそれぞれ一枚、加えて店舗の案内と、法定の表記。合わせて七枚の、独立したページにした。
玄関は、売り込みではなく交差点にする
ページを割ると、最初に開くページの役目が変わる。四つのうちのどれかを推す場ではなく、来た人を正しい方向へ渡す交差点になる。だから玄関のページには、四つの札を横に並べ、それぞれに一言ずつ、何を扱っているかと、押した先で何が分かるかを書いた。売り文句は最小限にとどめて、渡すことだけを仕事にさせている。その下に、この店が長く続いてきたことを語る帯と、季節ごとの話題を置いた。順番としては、まず用のある人を送り出して、それから、まだ用の決まっていない人に店の人柄を見せる、という並びだ。用がある人を待たせない。
割ったぶん、店の情報は全部のページに置く
ページを割ることの代償は、それぞれのページが店そのものの情報を失うことだ。制服のページに検索から直接たどり着いた人は、玄関を通っていない。その人が電話番号や営業時間を知るには、わざわざ店舗案内まで移動しないといけない。これでは割った意味が薄れる。そこで、すべてのページの下側に、同じ帯を置いた。電話番号、営業時間、定休日、所在地の四つ。どのページから入っても、最後まで下ろせば店にたどり着く。加えて、画面の上に貼り付いたまま動かない帯にも、電話番号を塗りつぶしの札として常駐させた。他のリンクは文字だけなのに、これだけは色で塗ってある。見た目を明確に変えたのは、この店の注文の実体が電話だからだ。画面のどこを見ていても、指一本で掛かる状態にしておきたかった。
検索に出す見出しも、ページごとに書き分ける
ページを割ったなら、検索の結果に出る一行も割らないと片手落ちになる。玄関のページには、店の全体像と主力の商材を。制服のページには、どのあたりの学校に対応しているか、制服のほかに体育衣料や給食着も扱っていることを。酒のページには、日本酒だけでなく焼酎やワインも置いていることと、樽の貸し出しに応じていることを。それぞれのページの中身に沿った一行を、別々に書いた。一枚に全部を書き込んだ見出しは、どの検索にも中途半端に引っかかって、どれにも強く当たらない。ページを分けた最大の効き目は、実のところ、見え方よりもこの一行のほうにあるのかもしれない。
七枚に割って並べ直したら、元のサイトに書いてあった情報は一つも減らないまま、それぞれのページがずいぶん短くなった。長いページを短くする方法は、削ることだけではない。誰に向けた話かで切り分ければ、削らずに短くできる。