稼働の翌日、実際に使い始めた方から最初の報告が届いた。タブレットで起案を開くと、添付のPDFの一ページ目しか見えない、というものだった。すべての画面の右下に固定した報告のボタンから、開いていた画面の場所ごと記録されて届く。番号が付き、種類と困り度で並ぶ。
一ページ目しか出ない
原因は、PDFを枠に入れて表示していたことだった。タブレットのブラウザは、枠の中のPDFを一ページ目しか描かず、めくれない。PCのブラウザは内蔵の閲覧機能で全ページ出すので、PCでは気づけない。直し方は、朱書きと同じくサーバでページを画像にして縦に並べること。見えたページから順に読み込む。
同じ報告の写しから、報告されていない二つ目の不具合が見つかった。朱書きの画面が「一/三十ページ」になっていた。その事業報告書は九十五ページある。上限を三十で黙って打ち切っていたので、三十一ページ目以降には赤を入れられなかった。報告した方は十ページ目と十三ページ目に書いていたので気づいていない。上限で黙って切ると、切られた側にはそこで終わりに見える。実データが来る前に決めた三十は、根拠の無い数字だった。写しを見なければ見逃していた。
二つの役職を、一人で
次の報告は、二つの役職を兼ねている方からだった。一件の起案で二回承認させられる。直し方は二つ入れた。決裁の経路を起案ごとに組めるようにし、承認したとき次の段も同じ人ならまとめて承認にする。ただし行は消さない。まとめた段には元の段の番号を入れる。誰の承認をやり直さずに済ませたかが、後から分かるようにする。
小口現金と起案を別々の仕組みにしてほしい、という要望もあった。画面と入口は分け、データベースは一つのままにした。控えと復旧を一系統で確実にするためだ。使えない系統は隠すのではなく、経路の途中で拒否する。画面から隠すだけでは、場所を知っていれば入れる。
決裁の経路に居ない人にも見えていた
決裁の経路に含まれない職員にも起案が見える、という報告はそのとおりだった。起案の一覧も詳細も添付も、閲覧の権限があれば誰でも見られた。しかも前日に私が足した「最近の起案」で、より目に付きやすくなっていた。見られるのは起案した本人、経路に名前がある人、事務局だけにした。
直したつもりの後で、試験が一つの穴を見つけた。添付を返す口が、共通の読み込みを使わず、同じ権限の判定を自前で書き写していた。そこだけ制限が効かず、番号を直接指定すれば他部署の起案の添付が読めた。コードを読んだだけでは直したつもりになっていた。判定は一か所に集める。
片付けた側には見えない消滅
四件すべてに回答を書いて対応済みにしたら、報告の画面が空になった。記録は消えていない。既定の絞り込みが未対応だけだった。しかし報告した方から見れば、自分の報告が無くなったに等しい。言いっぱなしにならない、という機能の目的を、こちらから壊していた。画面を二段にして、済んだものも新しい順に並べた。
返事の置き場所も何度か動いた。返信できるようにしてほしい、から始まり、メールでなく対応欄を設けて、となり、到着の知らせは要らない、を経て、届いたときと対応済みにしたときだけ受け付ける側へ知らせる、で落ち着いた。メールは気づくための補助で、返事そのものではない。気づく手段の本体は、全画面の上に出る未対応の件数の赤い数字だ。回答の正本は画面の対応欄に置き、対応済みや見送りにするには対応欄の記入を先に求める。回答なしで閉じさせないためだ。窓口の仕組みは、現金と同じで、合わないときにその日のうちに気づくために作った。要望も同じだと思っている。