権利フリーの方針を決めたあと、要件定義を書いた。軸に据えたのは「難易度はパーツの数で作る」という一行だ。試作の画面で百個近いパーツを眺めながら考えていた。初めての人にこの数は多すぎるし、慣れた人に十個では物足りない。同じ題材を、易しくも難しくも遊べるようにしたい。
難易度ごとに、別々には作らない
素直にやるなら、易しい版と難しい版のモデルを別々に用意することになる。だがそれでは制作の手間が難易度の数だけ倍になる。選んだのは逆の道だった。まず、いちばん細かい分割のモデルを一つだけ作る。易しい難易度では、隣り合うパーツを束ねて一つの部品として扱う。百個近いパーツが、束ね方次第で三十四個になり、十二個になる。完成形はどの難易度でも同じ。作るのは一つ、遊び方は三つ、という仕掛けだ。
組み終わった後の、行き先を作る
模型は組んで終わりではない。完成品はコレクションとして手元に保存され、いつでも眺め直せる。さらに、完成品を縦長の一枚絵にして、スマホの壁紙として書き出せるようにした。組んだものが毎日目にする画面に居座る。ここまでで、箱を開け、難易度を選び、組み立て、完成させ、コレクションに残し、壁紙にして持ち帰る、という一本の流れがつながった。この遊びの背骨を、試作の中で最初から最後まで通したことが、この段階のいちばんの収穫だった。
題材を、差し替えられる器に
仮の題材だった戦闘機は、あくまでモックだ。エンジン部分を題材に依存しない作りに直し、題材を登録して差し替えられる器にした。その上で、権利フリーの初期ラインナップとして、オリジナルの精密メカを五十五パーツ七工程で、ロケットのキットを三十六パーツ六工程で実装した。借り物の題材からの卒業である。難易度の束ね方も題材ごとに定義でき、器としての形が見えてきた。
検証していたのは、遊びの骨格
この時点の試作は、まだ平面のイラストを組む2Dだ。見た目は素朴だが、目的は絵作りではなく、遊びの骨格が成立するかの検証だった。難易度、コレクション、壁紙。骨格は通った。ただ、触るほどに引っかかりも育っていた。これは模型というより、パズルに見えるのではないか。
次の回は、その引っかかりに向き合った話。平面を捨てて、本物の立体に踏み込む。