研修の価値を測るのは難しい。「楽しかった」「勉強になった」というアンケート回答は取れる。しかし「研修を受けた後、実際に何が変わったか」は、数ヶ月後にしか見えない。それでも、体験中の参加者の反応から、いくつかのことは言える。
「なぜ売れなくなったのか」が分かる瞬間
DX変革に成功した企業が市場を席巻した瞬間、他社の参加者の顔が変わる。「なんで急に売れなくなったんだろう」という表情から、「DX変革した会社がスコア3倍になったから」と理解した瞬間の「あ、そういうことか」という表情。
この瞬間は言語化された理解ではなく、体感だ。「DXに出遅れるとどうなるか」を、数字と感情で経験した記憶は、講義で聞いた知識より残りやすい。
「キャッシュ」を意識するようになる
ゲーム後のアンケートでよく出てくる言葉がある。「現金がなくなる怖さが分かった」。破産を体験した参加者の多くが「投資のタイミングを間違えた」と振り返る。この振り返りが、実務での意思決定に繋がることを期待している。
研修ツールとしての限界も知っている
DX経営ゲームで全てが変わるわけではない。ゲームでの体験が実務に転移するには、ゲーム後の振り返りと実践計画が必要だ。ゲームはあくまでツールだ。ツールを使う研修プログラム全体の設計が、研修の効果を決める。
2026年6月2日の本番研修:26名参加の結果
このシリーズを書いている今日、6月2日に26名参加の本番研修を実施した。データが揃っているので記録しておく。
研修の概要:
- 参加者:26名(6チーム編成、1チーム4〜5名)
- 形式:対面(会議室)
- 所要時間:3時間(説明30分・ゲーム7ターン90分・振り返り60分)
- 使用機能:個人編(7ターン)
ゲーム中の出来事:
ターン3でDX変革に成功した企業が出た。その瞬間、同テーブルの参加者3名が「え、何それ!」という声を上げた。管理画面でシェアのグラフが急変する様子を、ファシリテーターがプロジェクターで全体に見せた。このシーンが研修全体のハイライトになった。
5チーム中2チームが一度破産した。緊急融資を計2回実行した。破産後に復活したチームの1つが最終的に2位に入った。「破産しても諦めなかった」という振り返りが出た。
アンケート結果(26名回答):
「研修として役立ったか」:とても役立った84%・役立った16%・どちらでもない0%・役立たなかった0%。
「特に印象に残ったこと」(自由記述から抜粋):「DX変革が起きた瞬間、グラフが劇的に変わった(6件)」、「現金がなくなる怖さが体験できた(5件)」、「他社の戦略が分かって面白かった(4件)」。
「実務に活かせそうなこと」(自由記述):「DX投資の優先順位の考え方(8件)」、「キャッシュフローを意識した意思決定(7件)」、「競合との差別化を数字で考えること(4件)」。
今日の研修で確信した。ゲームの中での「体感」は、座学の10倍の記憶に残る力を持つ。
*次回は最終回「次はAI経営シミュレーションを作る」*
6月2日の本番研修:アンケート結果の詳細
2026年6月2日、26名参加の対面研修(チーム形式)を実施した。終了後アンケート全26名回答のデータを記録する。
満足度(5点満点):平均4.7点。「とても満足」が22名(84.6%)、「満足」が4名(15.4%)、「どちらでもない」以下は0名。
「最も印象に残った場面」(自由記述・複数回答):1位「他社がDX変革に成功した瞬間、グラフが変わった場面」(8件)、2位「現金が底をついて破産しそうになった瞬間」(6件)、3位「チームで意見が割れて議論になった場面」(5件)、4位「緊急融資を受けた後の戦略を考えた時間」(3件)。
「研修後に実務でやってみたいこと」(自由記述):「DX投資の優先順位を数字で考えてみる」(9件)、「毎月のキャッシュフロー予測をやり直す」(7件)、「競合の動向を定量的に分析する」(4件)。
ゲーム中の出来事として、ターン3でDX変革に成功した企業が出た。その瞬間、同テーブルの参加者3名が「え、何それ!」という声を上げた。管理画面でシェアのグラフが急変する様子を、ファシリテーターがプロジェクターで全体に見せた。このシーンが研修全体のハイライトになった。6チーム中2チームが一度破産し、緊急融資を計2回実行した。破産後に復活した1チームが最終的に2位に入り「破産しても諦めなかった」という振り返りが出た。今日の研修で確信した。ゲームの中での「体感」は、座学の10倍の記憶に残る力を持つ。
*シンプルシステム株式会社 代表 伊藤勝彦*