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開発記録 / データ層引っ越し制作記 / Vol.49 データ層引っ越し制作記 Vol.1 表計算をやめて、データベースへ

記事 05

たった一つのファイルを、守る——表計算をやめて、背負った責任

引っ越しが終わって、一つ、はっきりと変わったことがある。これまでデータは、クラウドの表計算にあった。オーナーも中を見られたし、いざとなればそこに残っていた。引っ越し後、データは、自分たちのサーバーの中の、一つのファイルにまとまった。

2026-07-20 公開

引っ越しが終わって、一つ、はっきりと変わったことがある。これまでデータは、クラウドの表計算にあった。オーナーも中を見られたし、いざとなればそこに残っていた。引っ越し後、データは、自分たちのサーバーの中の、一つのファイルにまとまった。

速くなった代わりに、そのファイルが、唯一の正しいデータになった。これが消えたら、どこにも控えがない。速さと引き換えに、守る責任を背負った、ということだ。

一つにまとまると、速いが、危うい

データが一つのファイルにまとまるのは、速さのためには良いことだ。隣から一息で取ってこられる。けれど、その一つが壊れたり消えたりしたら、全部が一度に失われる。

散らばっているものは遅いが、一つが欠けても全部は死なない。まとまっているものは速いが、その一点が命綱になる。速さを選んだのだから、その命綱を、二重にも三重にも守る覚悟がいる。

控えを、二段構えで取る

そこで、控えを二段構えにした。一つは、サーバーの中で、毎晩決まった時刻に写しを取り、何日分かを残しておく。もう一つは、その写しを、まったく別の場所のクラウドへ、夜のうちに送っておく。

同じ場所に置いた控えは、その場所ごと駄目になれば、一緒に消える。だから、離れた場所にも置く。近くの控えは戻すのが速く、遠くの控えは万一のときの最後の砦になる。両方あって、はじめて安心して眠れる。

履歴は、当時のままにしておく

守りの作業をしていて、一つ大事な掟に気づいた。過去の記録は、その当時の姿のまま置いておかないといけない、ということだ。

たとえば、ある子の番号が、途中で振り直されたとする。それでも、昔の出席の記録は、昔の番号のまま残っている。今の番号を頼りに、まとめて古い記録を消そうとすると、別の実在の記録まで巻き込んでしまう。試している最中に、まさにこれをやって、本物の記録を二行、消してしまった。

記録は、今の名簿の写しではない。その日その時に、確かに起きたことの証だ。だから、あとから今の都合で書き換えたり、まとめて消したりしてはいけない。消すときは、番号ではなく、日付と名前と時刻で、その一行だけを名指しする。過去に手を入れるときほど、対象を一点に絞る。

消しても戻せる、が確かめられた

幸い、消してしまった二行は、前の晩の控えから、すぐに戻せた。肝を冷やしたが、同時に、控えの取り方と戻し方が、ちゃんと働くことを確かめられた。

備えは、使って初めて本物になる。戻せると信じていた控えが、本当に戻せた。この一件で、二段構えの守りに、自信が持てた。表計算をやめて背負った責任は重いが、その重さに見合う速さと、守りの手応えは得られた。このデータ層の引っ越しの記録は、ここでひと区切りとする。