お店のページには、SNSの最新の投稿をそのまま表示するかどうか、いつも悩ましい問いがある。開いた人に「今も生きているお店だ」と伝わりやすいし、更新の手間もない。ただ、その気軽さの裏には、いくつかの割に合わない負担が隠れていた。今回のお店では、生きた埋め込みをあえてやめて、静かな写真を三枚だけ置く形にした。
実際に見せたいのは、雰囲気だった
経営者と話しているうちに、SNSを見せたい理由の本当のところが分かってきた。最新の投稿の中身を見せたいのではなく、店の雰囲気が伝わればよかった。店内の落ち着いた明かり、丁寧に整えられた道具、施術している場面のやわらかな空気。それが伝わればお客様の背中を押せる。ということは、必ずしも「今日の投稿」でなくてもよい。代表となる三枚の写真を選び、それを綺麗に並べれば、目的は十分に果たせる。動く必要が無いなら、動かさなくてよかった。
生きた埋め込みを、あえて避ける
生きた埋め込みは、便利に見えて、実は面倒な代物だった。まず、外の会社の仕組みに頼るため、その会社が仕様を変えると、突然、店のページの見た目が壊れる。次に、鍵の期限がある。認証の鍵は数十日ごとに更新が必要で、更新を忘れれば、ある日から表示が止まる。忘れたのは店側なのに、開いた人の目には、店が投稿を止めたように見える。加えて、埋め込みには外部からたくさんの部品を読み込むため、ページの表示がそのぶん重くなる。もう一つ、投稿は最新順に流れていくため、店として一番見せたい代表の一枚が、たまたま今日の見出しになっていないことも多い。動くものは、動くだけの世話がいる。世話の量に見合うだけの見返りがあるかを考えて、今回は、無いという結論に落ち着いた。
三枚を選んで、静かに置く
代表の三枚を経営者と選んだ。一枚目は、店の中の全体の雰囲気が写ったもの。二枚目は、施術の場面。三枚目は、日々使っている香りの道具。どれも人の顔が写り込まないように選んだ。個人サロンでは、お客様の顔が写る写真を店のページに置くのは避けたほうがよかった。三枚は同じ大きさの正方形で並べ、遅れて読み込む設定にした。ページを開いてすぐは、まず本文と地図が届き、下までたどり着いた頃に写真が現れる形にした。上のほうに大きな写真を置くのではなく、静かに下段にそっと置くこの形が、店の落ち着きに合っていた。
リンクは一本、公式へ
三枚の下には、たった一つ、公式のアカウントへの一本のリンクを置いた。もっと見たい人は、そちらへ行ってもらう。埋め込みの数十枚を無理に並べるより、静かな三枚と、生きた本家へ向かう案内が一本、そのほうが店の姿と合っていた。SNSの中まで踏み込みたい人は本家で最新を見ればよいし、雰囲気だけ知りたい人は三枚で用が足りる。両方の欲求に、無理なく応えるかたちだった。
仕組みで済むところは仕組みに任せる。仕組みで済まないところは、割り切って人の目に任せる。無理に自動化して壊れやすくするより、静かに置いておくほうが、長く役に立つ場合がある。今回は、その割り切りが正解だった判断だと思っている。開店から半年、一年と経った時に、この三枚を差し替えたくなったら、それはそれで良い機会だ。差し替えは経営者本人が写真だけ選び、こちらに渡してくれれば、決まった大きさに整えて置き直せば済む。維持の手間まで含めて、身の丈に合っていた。