一枚のページが形になった。あとは、このページを誰にどうやって見つけてもらうか、を考える段になった。地域の小さな個人サロンでは、検索の結果で目立つ位置を取るのは難しい。強い会社が上に並んでいて、そのすぐ下に個人の店が食い込むのは、なかなか厄介だ。ならば、検索の結果に入り込めなかった人にも、店にたどり着いてもらう道を、いくつか作っておこうと考えた。
検索の入口だけを、前提にしない
近ごろは、店を探す時に、生成の道具に質問を投げる人が増えている。「この街で、こういう施術を受けられる小さな店を教えて」と話しかける。すると、生成の道具は自分の中の情報をたどって、いくつかの候補を返す。この候補に選ばれるためには、店の情報が、機械の目にも分かりやすい形で置かれている必要があった。人間が読む文章は、機械にとっては、単語のかたまりに見えている。店の業態が何か、どこにあるか、何時から何時まで開いているか、いくらの施術があるか。こうしたことを、人間の文章の中に埋めるだけでなく、機械のための場所にも、はっきり書き添えることにした。
業態、場所、営業、価格を、機械可読で
ページの見えない場所に、店の基本情報を機械が読みやすい形で書き込む欄がある。これはずいぶん前から標準として用意されていて、書いておけば、検索の仕組みや生成の道具が読み取ってくれる。まず、店の種類。個人サロンだと明記した。次に、住所と地図の座標。営業の曜日と時間。それから、価格帯。連絡の窓口。公式アカウントへのつながり。これらを一つずつ、決められた書式に沿って埋めた。人間には見えないが、機械にとってはこの欄が、店の身元証明書のような役割を果たす。地域の名前が入っていることで、地域の店を探す人の質問に答えやすくなる。
メニューは、全部並べる
同じ機械が読みやすい欄の中に、店のメニューも、名前と価格と所要時間を一つずつ全部並べた。ここが一番、後回しにされがちだが、実は一番効いてくる。「一時間で受けられる施術を教えて」と質問された時に、その一時間が、機械の目に見える形で書かれていなければ、候補には入らない。「六千円くらいで済む店を」と言われた時も同じだ。全部並べておくと、いろいろな切り口の質問に反応できるようになる。メニューが少ないうちにこそ、丁寧に並べる価値があった。書きながら、経営者本人にも、これがそのままお店の商品目録になっているのだと伝えた。
共有された時の、見た目までそろえる
もう一つ、忘れやすいのが、SNSや会話の道具でリンクが共有された時の見た目だった。店のページのリンクが送られた側の画面に、代表の写真と店名と一言の紹介が並んで出る。ここが白紙のままだと、共有された相手には、味気ない文字列が見えるだけになる。代表の写真を一枚、横長で用意した。店名と、店の魅力が伝わる短い文章を書いた。この情報は、ページを開かずとも、共有された時点で相手の目に入る。第一印象はここで決まる、と考えて手を抜かないようにした。
検索から来る人、生成の道具から紹介される人、SNSで送られてくる人。三つの入り口それぞれで、店の印象がそろって伝わるように整えた。ページの見た目だけでなく、見た目の裏側にも、同じ配慮を配ることが、小さな店の店構えの現代のかたちだと思った。派手な仕掛けは要らない。裏に書き添えた地味な情報こそが、生成の道具の答えの中に店の名前を並べる下地になっていく。