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開発記録 / 個人サロンLP制作記 / Vol.55 個人サロンLP制作記 Vol.1 一枚だけの、店のページ

記事 01

一枚だけの、店のページ——予約は、外にお願いする

小さな個人サロンの経営者から、お店のウェブページを作ってほしいという相談を受けた。話を聞くと、最初は無料のサイト作成の道具を使って自分で組もうとしたが、思うようにならず、それなら任せたい、というかたちで来た。要望は三つあった。地図と、メニューの一覧と、雰囲気の分かる写真を載せたい。予約はすでに公式のメッセージアプリを使っているから、それはそのまま活かしたい。予算はあまりかけたくない。

2026-08-31 公開

小さな個人サロンの経営者から、お店のウェブページを作ってほしいという相談を受けた。話を聞くと、最初は無料のサイト作成の道具を使って自分で組もうとしたが、思うようにならず、それなら任せたい、というかたちで来た。要望は三つあった。地図と、メニューの一覧と、雰囲気の分かる写真を載せたい。予約はすでに公式のメッセージアプリを使っているから、それはそのまま活かしたい。予算はあまりかけたくない。

予約の窓口は、すでにある

こちらから最初に確認したのは、日々の予約の受け付けをどうしているかだった。すでに公式のメッセージアプリで、経営者が直接、お客様と日程のやり取りをしているという。これは大事な情報だった。もしウェブページに新しい予約フォームを付けようとすれば、送信された内容をどこかに溜めて、経営者に通知を出して、日程をカレンダーに載せる、という仕組みが要る。作ればサーバーの費用がかかる。ろくに使ってもらえないと、店の側が二重に確認しなくてはならない負担が増える。すでに使い慣れた窓口があるなら、そちらへ流したほうが早い。ウェブページの役目は、店を知らない人に店の中身を知ってもらうことに絞ればよい。予約は、生きて動いている外の窓口にそのまま任せる。決断は、最初のうちに片付けておいた。

ページは一枚、動きは持たせない

構成は、一つのページに、上から順に店の顔、メニュー、雰囲気の写真、地図、予約への案内、と縦に並べるかたちにした。切り替えのタブや、下から出てくる予約ボタンや、そういった動きは何一つ入れなかった。理由は二つある。一つは、動くたびに、そのぶん処理が必要になり、古い携帯電話やゆっくりの通信回線で表示が遅くなること。もう一つは、動く仕組みが増えると、後から他の人が編集するのがぐんと難しくなること。このお店のウェブページは、開発の会社が長く抱えて育てるものではない。一度作ったら、あとは経営者が自分で見出しや値段を書き替えられる、そういう身軽なものであるべきだと考えた。だから、書いてある通りに表示されるだけの、静かなページにした。

情報は、探させずに縦に並べる

店に興味を持って開いてくれた人が何を知りたいか、順番を想像した。まず、どんなお店か。次に、いくらで、何をしてくれるのか。それから、どこにあって、どう行くのか。最後に、どうやって予約するのか。その順番のまま、上から下に並べた。見出しをたどるだけで答えが出るように、寄り道の少ない一本道にした。上に戻るボタンも、目次も置いていない。指で下にすべらせるだけで、必要な情報が最後まで自然に届く長さになった。

外にお願いした先が、生きているかを、たまに確かめる

外の窓口に予約を任せる代わりに、その窓口が今も生きて動いているかを、ときどきこちらで確かめる責任を持った。リンク先が変わっていないか。アカウントの表示名が変わっていないか。そういう小さな見回りだけは、こちらで受け持つ約束にした。特に公式のメッセージアプリの側は、外の会社の都合で仕様が更新されることがある。その時に、店のページから飛ぶ経路がうっかり切れていないか、を目で確かめる。表示は簡素だが、この見回りだけは怠らない。

一枚のページの中に、店の全部を無理に詰め込まない。必要なところは、生きている外の窓口に素直に頼る。頼った先が消えないよう、こちらの目で見守る役だけを引き受ける。それが、この案件で最初に決めた設計の考え方だった。この考え方が最後まで筋を通したおかげで、その後の作業で迷った時に、いつも立ち返る足場になった。