集客を増やす前に、何から作るべきかを、紙に書き出した夜があった。
機能のアイデアは、いくらでも出る。新しい診断、新しいレポート、新しい連携。どれも魅力的に見える。けれど、その一覧を眺めて、私はいったんペンを止めた。これを上から順に作っていったら、たぶん事故が起きる。順番が、間違っている気がした。
攻めより先に、守りを決めた
並べ替えの基準にしたのは、攻めか守りか、ではなく、壊れたときの被害の大きさだった。
新しい機能が一つ遅れても、誰も困らない。けれど、お金の処理が間違えば、信用を失う。個人情報が漏れれば、取り返しがつかない。成果物が壊れて届けば、有料の看板が傷つく。だから、機能の前に、ここを固める。攻めの順番より先に、守りの順番を決めた。
何を守るかを、三つに絞る
守るべきものを、三つに絞った。課金。個人情報。成果物。
この三つは、無人で回す事業の、いちばん柔らかいところだ。人がいれば、最後に目で見て止められる。無人なら、仕組みが止めるしかない。だから、この三つにだけは、最初から手を抜かないと決めた。あれもこれもではなく、まずこの三つ。守る対象を絞ったから、迷わず手を入れられた。
守れていないものは、公開しない
そして、ここを最優先の項目とした。有料で公開する前に、必ず解消しておく関門だ。
注文や成果物が、本人以外から触れないか。買えないはずの商品が、買えてしまわないか。同じ決済で、成果物が二重に作られないか。こういう、放っておくと課金や情報に直結する穴を、公開の前提条件にした。塞がっていないなら、公開しない。順番ではなく、関門にした。
一度、公開を止めた
実際に、公開を止めたことがある。
出す準備が整って、あとは公開するだけ、というところで、購入の資格を確かめる仕組みに穴が見つかった。診断を飛ばしても、買えてしまう。金額に直結する穴だ。出したい気持ちはあった。でも、関門にすると決めた以上、ここは曲げられない。公開を遅らせて、塞いでから出した。決めた関門を、自分で破らない。それも、守りのうちだった。
順番が、事業の安全を決める
機能を増やすのは、その後でいい。
流入を増やす前に、計測と改善の仕組みを先に作る。守りを固める前に、人を呼ばない。地味な決め事だが、一人でやる以上、これが効く。派手な機能から作りたくなる誘惑を、毎回ここで抑えた。守りを先にやったぶん、後の機能追加が、安心して速くなった。
次の回は、その守りの一つ目、他人のものに触れさせない仕組みについて書く。