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開発記録 / AI_DX制作記 / Vol.38 AI_DX制作記 Vol.3 無人ファネルと適合判定

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売れる、と、無人で出していい、は別だった——適合判定エンジンを入口に置く

ある問い合わせを見て、背筋が少し冷えたことがある。

2026-06-20 公開

ある問い合わせを見て、背筋が少し冷えたことがある。

意欲は申し分なかった。すぐにでも始めたい、という熱量が伝わってくる。けれど、扱う書類のなかに、本人確認に関わる情報や、独自の基幹システムとの連携が混じっていた。これは、人が一度も確認せずに自動で売っていい相手ではない。なのに、当時の仕組みは、意欲が高ければそのまま売れてしまう作りだった。

売る前に、止める仕組みがなかった

それまで私が見ていたのは、「売れるかどうか」だけだった。

困りごとがあって、予算があって、やる気がある。条件がそろえば、商品を出す。営業として、それは自然な発想だ。でも、無人で回す前提に立つと、それでは危うい。私が一件ずつ目を通すなら、危ない案件は手前で止められる。人を介さないなら、止める判断そのものを、仕組みに持たせないといけない。

「売れるか」と「無人で出していいか」を分ける

そこで、判定を二つに分けた。

一つは、相手が買う気があるか。もう一つは、この案件を無人で安全に提供できるか。営業の意欲が高くても、提供に向かない案件なら、自動では契約させない。この二つを混ぜないことが、出発点だった。

提供してよいかを測る物差しも決めた。既存のテンプレートにどれだけ合うか。扱うデータの機微さはどの程度か。連携は標準の範囲か。AIに任せてよい種類の仕事か。採算は取れるか。そして、回答そのものが、どれだけ信頼できるか。一つひとつを、感覚ではなく条件で見る。

三つに、自動で振り分ける

判定の結果は、三つに分けた。

問題なく自動で売ってよいもの。条件の確認や追加の質問が要るもの。自動では止めるべきもの。止める場合は、ただ断るのではなく、なぜ提供できないかと、代わりにどうすればよいかを返す。

人に通知が飛ぶのは、このうち、確認が要るもののなかでも、単価が高く、確度も高い案件だけにした。すべてを見ようとすれば、また私の時間が比例して増える。だから、人が出る案件こそ、仕組みで絞る。

確信が持てないときは、質問を足す

物差しのなかで、特に気をつけたのが、回答の信頼度だった。

入力が足りなかったり、数字が食い違っていたりするのに、無理に判定して売ってしまうのが、いちばん危ない。だから、確信が持てないときは、追加の質問を一問だけ返す。それで埋まればいい。何度かやっても埋まらなければ、自動では進めず、例外として脇へ送る。

売れそうな相手ほど、勢いで通したくなる。その勢いを、信頼度という冷たい物差しで一度止める。ここを甘くすると、無人化はすぐに事故を起こす。

顧客には、内部の判定を見せない

一つ、表に出さないと決めたものがある。この三分類の、内部の符号だ。

判定の色や記号は、設計のための言葉であって、顧客に見せるものではない。利用者には、次に何をすればよいか、どの選択肢があるかだけを、ふつうの言葉で返す。裏で厳密に判定し、表ではやわらかく案内する。この二段を、分けることにした。

それから、どの版のルールで、どの版の価格で、なぜその判定になったかを、注文と成果物に固定して残すようにした。あとから「なぜこの結論だったか」を再現できないと、無人の判定は信用できない。その話は、第4部で詳しく書く。

次の回で、この第3部を締める。入口から面談を外しきり、人が出るのは例外の審査だけ、という形にした話だ。