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開発記録 / 記事配信制作記 / Vol.52 記事配信制作記 Vol.1 新着を、待たずに届ける

記事 03

全自動を、やめる——配信の前に、人の目を通す

新着を拾い、カード型のメッセージに整え、自動で配信する。そこまで動くようになった稼働の直前で、立ち止まった。本当に、拾ったものを無条件に送っていいのか。相手は情報紙の公式アカウントで、届いた瞬間に読者のスマホが鳴る。間違いは取り消せない。完成間際の方針転換にはためらいもあったが、確認と承認を挟んでから配信する形に変えると決めた。あわせて、送る記事の種別を選べるようにしてほしい、という要望にも応えることにした。

2026-08-10 公開

新着を拾い、カード型のメッセージに整え、自動で配信する。そこまで動くようになった稼働の直前で、立ち止まった。本当に、拾ったものを無条件に送っていいのか。相手は情報紙の公式アカウントで、届いた瞬間に読者のスマホが鳴る。間違いは取り消せない。完成間際の方針転換にはためらいもあったが、確認と承認を挟んでから配信する形に変えると決めた。あわせて、送る記事の種別を選べるようにしてほしい、という要望にも応えることにした。

取ってくる係と、送る係を分ける

流れはこうなった。十五分おきの巡回は、新着を見つけても配信はしない。承認待ちの列に積むだけだ。編集部は管理画面でその列を眺め、送りたい記事を承認し、いらないものは却下する。そして配信ボタンを押したときにはじめて、承認済みの記事がまとめて公式アカウントへ飛ぶ。機械は拾って運ぶ係に徹し、送るかどうかの判断は人が握る。前回までに作った送信済みの記録はそのまま生きているので、承認済みの記事を将来別のSNSへ流すときも、いまの届け先に二重送信される心配はない。

依存ゼロの、小さな管理の窓

この方針変更で、管理画面という新しい部品が要ることになった。ここでも外部ライブラリは使わず、標準ライブラリのWebサーバー機能だけで小さな管理Webを自作した。パスワードで入ると署名付きの通行証を発行する方式の認証も自前だ。画面には検索サイトに載らない印を付け、通信は暗号化された経路だけを通す。画面は一枚きり。承認待ちの記事が写真付きのカードで並び、ボタン二つで承認と却下ができる。編集部の仕事が増える改修だからこそ、操作は最小限にした。

絞り込みと、四つのタブ

使い勝手として、いくつか工夫を足した。まず区分での絞り込み。記事だけ、求人だけ、と切り替えてから承認や配信ができる。次にタブ分けで、承認待ち・承認済み・配信済み・却下の四つに列を分けた。配信が済んだ記事は配信済みのタブへ移るので、いま何が未配信で残っているかが一目で分かる。各カードには、仕組みがその記事をいつ拾ったかの時刻も添えた。列の鮮度が見えると、確認の心理的な負担は思いのほか軽くなる。

遠回りに見えて、近道だった

全自動に比べれば、人の手間は一手増えた。それでも、公式アカウントという看板を預かる以上、この一手は保険ではなく仕組みの芯だと思う。自動化の目的は人を外すことではなく、人の判断を、ボタン一つで済む軽さまで削ることだ。承認制にしたことで、編集部は安心してボタンを押せるようになった。

こうして承認制の配信が本番で動き出した。だが、実際に使うのは私ではなくクライアントだ。次の回は、実機確認で届いた報告と、その対応について書く。