広告主が、自分で広告を投稿できる。この入口を作るとき、いちばん時間をかけたのは、投稿された広告を「すぐには載せない」仕組みだった。
自由に投稿できて、すぐ公開される。作る側からすれば手間がなくて楽だ。けれど、地域の情報紙の名前で出る広告が、誰の目も通らずに世に出るのは、こわい。だから、間に一段はさむことにした。
投稿と公開を、切り離す
まず、投稿と公開を、別のことにした。
広告主が投稿すると、それは「承認待ち」という状態で溜まる。この時点では、まだ公開の枠には出てこない。読者が見るページには、一切現れない。投稿された、というだけだ。世に出るかどうかは、まだ決まっていない。
投稿イコール公開、にしない。この一線を引いただけで、事故の芽の大半は摘める。届いたものが、勝手に表に出ることはない。
編集部が、目を通してから
承認待ちの広告は、編集部の管理画面に並ぶ。
担当者が中身を見て、載せてよいと判断すれば、承認する。そこで初めて、公開の枠に出る。ふさわしくなければ、却下する。却下したものは表に出ないまま、投稿の一覧からも片づく。載せる載せないの判断は、必ず人が握る。
大事なのは、判断の主導権が、投稿する側ではなく、載せる側にあることだ。媒体の名前で出る以上、最後に責任を持つのは編集部だ。その責任を、仕組みのうえでも守れるようにした。
既定は、非公開
この設計を貫くために、一つの原則を置いた。外から入ってきたものは、既定で世に出さない。
初期状態は、常に非公開。公開は、人が明示的に選んだときだけ起きる。うっかり公開されることはあっても、うっかり非公開になることはない。間違えたときに、安全な側へ倒れる。そういう向きに、既定値をそろえた。
これは広告に限らない。外から受け取るものすべてに通じる考え方だと思う。信じてから疑うのではなく、疑ってから通す。手間は増えるが、その手間は、媒体の信用を守るための必要な一段だった。
止める一段が、信用を作る
投稿が、そのまま載る。速いし、楽だ。けれど、その速さは、たいてい誰かの信用と引き換えになっている。
一度止めて、人が見て、それから載せる。遅くなったぶんだけ、変なものは表に出ない。地域で長く読まれてきた媒体にとって、その一段の遅さは、失点を防ぐ保険だった。速さより、載っているものが全部きちんとしていること。そちらを選んだ。
外から入るものを、既定で世に出さない。この向きだけは、どんなサイトを作るときも、変えないようにしている。
次の回は、その管理画面のログインで、思わぬところに詰まった話を書く。